第7話


丸井元積は真撰組に引き連れられて現場を後にした。 先ほどまでの勢いはどこへやら、両脇を隊士に支えられないと立っていられないほどに憔悴している。 それを見送るの手には、紅い光を放つ宝珠が握られている。

! 終わったアルか?」
「あ、神楽・・・」

来てたんだ、という言葉をはぎりぎりで飲み込んだ。 ひょこ、と隊士たちの群れから現れた神楽が、もはやお決まりの様子での腰に抱きつく。

「やっぱりかっこいいアルなー! さっすが私のネ!!」
「ほんとですよ。犯人に啖呵きったときにはちょっとびっくりしましたけど」

いつもと同じ。 の知る、神楽と新八だ。

「ったく、どーせ派手なことやるんだったら俺も混ぜろっつの。ばっかり目立ちやがってよぉ」

ぽん、と頭に載せられた手のひらの温かさが。

「心配したんだぞコラァ」
「――――・・・ごめん。ありがと」
「これだから、放っとけねーんだよ」

一瞬だけ。 頭に載せられた銀時の手に力がこもって、の身体が無防備に傾いだその一瞬。



は銀時の空気に触れた。



甘い匂いに全身を包まれる。 身体に入っていた余計な力が、すぅと抜けていく。ぴんと張り詰めた緊張の糸がほどけていく。 細く長く息を吐き出して、は目を閉じる。

「(・・・・なんか・・・あったけー・・・)」

銀時の肩口に頭を預けたは、無意識のうちに彼に体重を任せていて。

「あー・・あの、さ。すっげー言いにくいんだけどぉ、つーか言うのすげーもったいねぇんだけどぉ」
「・・なんだよ?」
「・・・・あと5秒このまんまだと、俺の中のオオカミさんが牙を剥くかも」
「死ね、この糖尿天パ!!」

は迷わず、鳩尾に拳を埋めた。

「もういい、お前なんか知るか!」
「ちょ・・、待てコラ!! なんか逆流しちゃいけないものが出てきちゃいそーになったじゃねーか、オイ・・・ッ!」
「(くそぅ、こいつはこーゆー奴だった・・・! 知っていたはずなのに、俺のバカ野郎っ!)」

なんだか猛烈な恥ずかしさに襲われる。自分がなにをしていたのか、ここにきてようやく振り返ってしまって。


「なんだよッ!」
「・・・・さっさとあいつらに説明してこい」

いてて・・とわざとらしく腹を押さえた銀時があごで示した方には。

「・・・やっぱ、そうだよな」
「ホラ、さくっと行って来やがれ。ここで待っててやるからよ」

銀時に背中を押され、はいわれた方向に歩き出す。


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