人間はそれぞれ、生まれた日付からその時刻まで精確に一致する妖精をひとりだけ持ち、互いをパートナーとして生活している。妖精はちょうどYシャツの胸ポケットに入るくらいのサイズで、人がそのまま小さくなったような容姿。背中に羽などははえていないが、空を飛ぶことが可能。また、パートナーが10歳前後になったころ、妖精はパートナーの能力や才覚にしたがって個々の特殊能力を獲得し、その種類は多岐にわたる。しかしその能力はある制限を越えると発揮されず、同時に空を飛ぶこともできなくなる。制限とは人間と妖精との友愛、尊敬といった両者の信頼関係、または人間自身の能力などによって変化する実際の距離のことで、関係性が全く成り立っていない場合、妖精はパートナーの肩の上にいても能力を使えない。逆のパターンでは、パートナーが地球の裏側にいても能力を使える。妖精は総じて10歳ぐらいの容姿で生まれ、個々の特殊能力を得るまでは容姿が変化しない。能力を獲得した後は、それぞれ個別のスピードで成長していく。原則的に妖精の老化は人間のそれよりも遅く、妖精が人間よりもはやく老いることはない。どんな状況にあろうと、パートナーとその妖精は必ず同時刻に逝去する。
人間:ティエリア
工学部情報工学科に所属する大学生で、学内でも有名な美人だがあんななりして男。
幼い頃からほとんど天才的に情報処理能力に長けており、それが由来して彼の妖精は数学的算術処理能力を得た。朝、目覚めたときの機嫌がそのまま制限に直結するほど制限距離はひどく不安定で、10cmはなれただけで妖精が飛べなくなることもあるし、1kmはなれた場所でアインシュタインが特殊相対性理論の帰結として用いた関係式 E=mc2 を導出させたこともある。うるさいなりに役に立っているが、妖精本人には絶対言わない。妖精のクセに大喰らいで(そもそも妖精は “食べる” 必要がない)、「慎ましい」 とは程遠く、飛べなくても自身の足であっちへフラフラこっちへフラフラする浅薄さなど妖精に対する不満は数多いが、ことあるごとに 「昔のお前はあんなに可愛かったのに、」 を繰り返す妖精にかなりのところ辟易している。自身を女と間違えられるのと同じレベルで、妖精を男と間違われると機嫌が最高に悪くなる。ロックオンに言わせると、「あいつら心配すると、心配したこっちがバカを見る」 らしい。
妖精:
ティエリアの妖精で、非常に優れた算術処理能力を持つ。
どうやら重宝されているらしいことは気付いているが、獲得した能力があんまりにも面白みに欠けるのが多少不満。人間と同じサイズになることのできる能力を持つハレルヤ(アレルヤの妖精)を本気で羨ましく思っているが、それをパートナーに言ったら 「・・邪魔だな、」 と一蹴され、以後1週間はティエリアの頭の上にいても飛べなかった。ひどく気まぐれで、ティエリアの許可なく1週間くらいなら平気で帰ってこないことも。パートナーの頭の上や肩、手のひらなど妖精 「お気に入り」 の場所は様々あるが、彼女のお気に入りはポケットの中。カーディガンのポケットの中で食べるチョコチップクッキーほど美味しいものはないと思っているが、やるとすごく怒られるのでたまにしかしない(でもやる)。ハレルヤや刹那など、妖精の間でも美人と評判のティエリアをさり気なく自慢に思っているが、その割に彼女といった、特定の女の子との付き合いがないパートナーを結構真面目に心配している。
この設定を基に書いてみた(風切羽)
我ながら自分の妄想の暴走具合が怖い。
お題:選択課題 カップリングパロディー「人間とポケットサイズの妖精」 ... リライト
writing date 08.07.05 Re:up data 08.08.05