第3話


「翔けろ、雀鴻 (じゃっこう)

のその声に呼応して、室内にもかかわらず一陣の風が巻き起こり皆の髪を撫でる。 数秒間視界を失った3人の前に現れたのは、言うなれば伝説上の朱雀のような巨大な鳥。

・・・ってぇぇええぇえ?ちょっと銀さん、目の前の光景信じらんないんだけどぉ」
「信じるも信じないも、目の前の光景が真実だけど」

驚愕の最高点をとっくに突破した銀時の言葉はまるで棒読みだった。 まぁ、それでも残りの二人はぽかーんと口をあけて突っ立っているだけなので、3人の中ではある意味一番冷静だといえる。

「コイツは雀鴻。風の力を宿す召喚獣だ。宝珠は全部で4つあって、今俺がこの一つしかもってないから、あと3つこの世界にあるってことだ」
「じゃあ、さんはこの世界で残りの宝珠をさがすんスか?」

そゆことー、でさ知らないか?と尋ねるに、新八は首を横に振って答えるしかない。 もちろんそれは新八に限ったことではなく、神楽も銀時も。

「だよなー。ま、しょうがないわな!」

は一瞬だけ残念そうに眉をひそめた。 しかしそのすぐ後にはあたりが華やぐような笑みを浮かべる。

「じゃ、行くわ。世話になっ「どこ行くつもりだよ、お前?」

銀時に挙げた右手を掴まれて、はきょとんとする。 何をいまさら、という言葉がありありとうかんだ表情だ。

「どこって・・・宝珠探さなきゃならないからな。どーせならこの世界を旅しながら探すさ」
「・・・女独りでかぁ?」
「うわぁお。女扱いされたのすっげぇ久しぶりなんすけど、俺」

銀時の言葉にがイラついた様子はない。 むしろ、茶化すようなの言葉にいらっときているのは銀時だ。

「ここの事、なんも知らねぇだろーがよぉ。そんな場所を闇雲に探すってのかぁ?」
「・・・得策じゃないのは承知してるけど、他にどうしようもないだろ」
「そんなことないネ!」
「うぉっ」

はいきなり飛びついてきた神楽に驚いて声を上げた。腰にきゅうっと抱きついている。

「ここに住んで探せばいいアル!」
・・・はぁ?

突拍子もない提案には声を失う。 予想だにしていなかった言葉が飛び出してきた。

「ここを中心に探せばいいあるヨ!そしたらきっとうまくいくあるネ」
「いやいや、いきなり何を「突拍子もないですが、いい考えかもしれないっスよ?さん」

自分の言葉をさえぎった新八を見遣れば、彼はあごに手をあててなにやら真剣に考え込んでいる。 その隣の銀時は何を考えているのかわからない無気力な瞳でこちらを見ていて。

「 (・・・この人たちは、出会ってまだ数時間も経たない俺のことを考えてくれるんだろう)」
「ここは日本の中心で、たくさんの人が江戸に入ったりでたりしています。天人だってたくさんいるし・・・情報を得るなら、逆に江戸にとどまったほうがいいかもしれません」
「・・・なるほどー。闇雲にさがすよかいいかもだな」
「それに、だ」

銀時はわざと屈んでを見上げる。彼女と目が合うと、ニッといたずらを思いついたように笑って。

「お前、俺らが万事屋だってこと、忘れてねぇ?」

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