第4話
「へぇ・・おもしろそーじゃねぇか、なぁ総悟」
「面接なんざ退屈だと思ってやしたが・・そうでもねぇらしい」
山崎から一部始終を聞いた副長、土方十四郎と一番隊隊長、沖田総悟は二人そろってにやりと表情を歪めた。
新隊士の面接なんてデスクワークは二人にとって面倒以外の何物でもなかった(特に沖田)のだが、
今回のそれは退屈しないですみそうである。
「・・とりあえず道場に集合してもらってます」
「ご苦労だったな、山崎」
こりゃ何言っても無駄だな、と肩を落とした山崎に上辺だけの労いをかけて二人は道場へ向かう。
と、だんだん騒々しさが増している。騒々しさというよりむしろもう罵声である。
「チッ・・これだから芋侍は嫌なんでさァ」
「おいおいおい、面接の前に受験者減らそうとしてんじゃねーよ」
バズーカを担ぎだした沖田を抑えて、土方は道場への扉を開ける。
そこには、すでに暴徒と化した輩どもが汚い野次や罵声をあげて一人に詰め寄る姿が。
面接官である土方と沖田の姿にも気が付かないほどヒートアップしているらしい。
「土方さん、アレじゃねぇですかィ?山崎が言ってたのって」
「ぁあ?」
詰め寄る男どもを相手にもしていない騒ぎの中心は、壁に寄りかかって座り、つまらなそうにため息を吐き出している。
たしかに、その容姿も態度も、山崎の言葉に沿っている。
「てめぇ女だろーが!引っ込んでろ!」
「お前なんかの出る幕じゃねーんだよコラ」
暴徒の一人が掴みかかろうとする様を見て取った土方は、目だけで沖田に合図した。
どかーん
「あー、これから新隊士募集のための面接を行う。煩くしやがったら切腹させるからそのつもりで」
自ら切腹する前に爆死しかねないじゃん、と蚊帳の外では思う。
あの柄の悪いのが真撰組とやらの幹部なのだろうか。
まぁ、こんな奴らを率いるのなら、同じくらいかむしろそれ以上人相の悪い人じゃないと勤まらないのかもしれない。
「・・・・―――ぃ、おい!」
「へ、俺?」
そんなことをつらつらと考えていたせいで、呼びかけられているのに気付かなかった。
咥え煙草の男がそれはそれは不機嫌そうな顔でを見下ろしている。
「さっきの騒ぎの原因はてめぇか」
「違うよ。勝手に絡んできたんだもん」
頬をふくらませ、ふてくされたように視線を逸らす。
「俺が女だってだけで絡んでくんだもん、そこのオジサン達」
のその一言でまたうるさくなったのを、土方はひと睨みで黙らせる。
も不満丸出しの顔で口を噤んだ。
「・・お前、腕には自身あるんだろうな?」
「もちろん!じゃなきゃこんな所来ないって」
のその返事を聞いて、土方はにやりと笑った。
そしてその笑みを浮かべたまま、挑むように見遣る。そう、さっきが山崎にしてみせたような目で。
「じゃあ・・・そうだな、お前来い」
取り囲んでいた男たちの中から、一番声高にを罵倒していた一人を選び出すと。
土方は煙草の煙とともに言葉をこう吐き出した。
「お前ら勝負しろ。それが面接だ」
横暴だ。
は咄嗟にそう思った。
目の前の土方が自分を見る目はよく言えば好奇心、悪く言えば玩具以外の何物でもない。
しかも面倒厄介なことに、相手の男は俄然やる気に満ちている。
が女で、しかも一回りくらい年下であるために楽勝だと踏んでいるのだろうが。
ふと、は視線を動かす。その先にいたのは―――
novel/next