第5話
「アンタ、誰?」
「・・俺ですかィ?」
「そう、お前」
色素の薄い髪に瞳。ある意味と似通った、綺麗な顔立ちをした少年――沖田である。
「沖田総悟といいまさァ。お嬢さんは?」
「。・・・なぁ、後で俺と勝負しない?」
周囲が再びざわめく。
沖田といえば剣の使い手として優秀な人材の揃う真撰組においても、随一といわれる剣士である。
「なんで俺なんですかィ?」
「今ここで一番強いの、お前だろ?そこの瞳孔開いてる怖いオニーサンも強いんだろうけど」
「ええ、当たりでさァ。土方さんは万事屋の旦那に勝負挑んで負けたくらいですぜ」
「おいぃぃぃ!そゆこと言わなくていいんだよ、総悟ぉお!」
「万事屋の旦那って・・・・銀さんのこと?」
沖田に掴みかかろうとしていた土方も、のことばに動きを止める。
「知ってんのか、あの天パ野郎のこと」
「うん。俺、銀さんところに居候してるんだ」
「「・・・・・」」
「え、なんだよその沈黙」
あの変態スケベ天パがだまっているのだろうか。
てゆーか、男の家にこんな年頃の女が居候とかいうのが許されるのだろうか(神楽この際置いておくとして)。
二人の思考はこのときばかりは一致した。
一方、やっぱり銀さん強いんだ、とはひとり納得している。
「て、てめぇらぁ!勝負するんじゃねーのかよ!?」
「・・・当たり前じゃねぇか、わかってるぜ俺は。別に忘れてたわけじゃねぇよ」
「土方さんの言うとおりでさァ。忘れてなんかいやせんぜ」
「そーそー。早く沖田くんと試合したいなんかおもってないし」
「やる気ねぇだろ、お前ら」
竹刀を手にやる気満々の男を一瞥し、はいいこと考えた!と声を上げた。
「あのさ、コイツ素手で倒したら沖田と勝負させろよ。もちろん、コイツは竹刀持ってていいか「舐めてんのかてめぇえ!」
男が声をあげるのも当然だ。相手は女で、しかも年下で。
そんな奴が自分を素手で倒したらという条件で、一番隊隊長沖田と勝負させろとのたまっているのだから。
ところがは違う違うと両手を振って。そんなつもりはない、と繰り返す。
自分よりも格上である沖田と勝負させてもらうために、自分の力を見せたいというのだ。
「・・どうしやす、土方さん。俺は別にいいですぜ」
沖田のその言葉に振り返れば。
土方の視線の先で、沖田は面白い玩具を見つけた子供のように笑顔を見せており、普段よく見る黒さを伴った笑みではない・・・と思うようなそうじゃないような。
「仕方ねぇ。素手で倒せりゃ、だけどな」
「はは、ありがと」
そんな会話が繰り広げる中、の相手として選ばれた男ははらわたの煮えくり返る思いでそこに立っていた。
とか名乗る小娘が完全に自分を見下しているから、だけではない。土方も沖田も、だ。
明らかに、これからの勝負はが勝つだろうという予測の下にすべての会話がなされている。
真撰組となり、自分の力を見せ付けるためにはもう、この小娘をのしてしまうしか道は残されていない。
女に武を向けるのは多少躊躇われていたのだが、今やその遠慮は遠くあさっての方向に吹っ飛んでしまった。
「じゃあ・・・始めんぞ。構え」
男は竹刀を構えた。
はこきこきと指をならし、その場にぶらりと突っ立っている。緊張のかけらも見えない。
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