第6話


「あー・・・る気おきねぇ」
「なんで"や"の字カタカナにした?わざとか、わざとなんスか!?」

椅子の上にふんぞり返ってぼりぼりと首筋を掻くのは万事屋王国の王子、銀時。 そんな彼の隣に控える新八は、いつも以上にだらだらな銀時にぴしりと言葉を投げつけました。 なかなか特定の彼女を作ろうとしない銀時王子のために開かれた舞踏会なのに、その銀時王子が乗り気じゃなければ意味がないのです。

「せっかく土方王子にも来ていただいたのに・・なんで王子がそんなグダグダなんですか」
「それだよ、それが問題なんだよ」

真撰組王国の王子、土方が舞踏会に呼ばれたのはそのほうがカワイイ女の子が集まるから、という理由でしたが、それが逆にアダとなったのでした。 来賓である彼の周りには色とりどりに着飾った万事屋王国の美女たちが群がっているのに対し、銀時王子の周りはなんとも寂しいものだったのです。

「山崎さんが忙しそうにしてるのが、なんか羨ましいんですけど、僕」

土方王子の従者である山崎は「アレ持って来い」だの「マヨネーズかけろ」だのといいようにパシられています。 けれど、自国で開かれた舞踏会でありながらヒマ極まりない新八にしてみれば、羨望の的でしかありませんでした。

「もー、さっさと女の子に声かけてきてくださいよ」
「上玉はとっくに多串クンが持ってっちまったろーが」
「話してみないとわからないじゃないですか。いいコかもしれませんよ?」
「あのなァ新八、よく考えてもみろよ。こんなとこに顔だす女なんざ、俺らの財産目当てじゃねーか。イイ女なんてそうそういねーよ」
「・・・・・」

吐き捨てるような銀時王子の台詞ですが、確かに一理あって新八は言葉を噤んでしまいます。 "女はカオだ、スタイルだ"と言ってはばからない銀時王子ですが、これで結構内面を重視していることを新八は知っていました。

「はー・・女王の手前もありますから、とりあえず声だけでもかけてきたらどうですか?」
おー、と生返事を返す銀時王子に、新八がそっとため息を吐いたときでした。

「姫のおなーりー」

舞踏会がはじまって既に2時間が経過したこの時間に、新たな来客の登場です。
怪訝そうに新八がフロアに目を向けると―――・・・


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短くてゴメンナサイ